文様つれづれ - その1 -

Japanese traditional patterns episodeⅠ

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麻の葉
asanoha

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青海波
seigaiha

鱗文
urokomon

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矢絣
yagasuri

文様(もんよう)は、美術・工芸において模様をあらわす言葉として用いられています。

文様のデザインには神聖、吉祥、厄除など意味が込められているので、見た目の美しさと同時に、作者が込めた想いを想像するのも美術鑑賞の楽しみの一つです。

 

日本の伝統文様には、成長が早く生命力が強い麻をイメージした麻の葉(あさのは)、どこまでも続く波をあらわした青海波(せいがいは)、魚や蛇のうろこに見立てた鱗文(うろこもん)などがあり、それぞれの意味は異なりますが、総じて「幸多かれ」という願いが込められています。

 

ただ、時代とともに本来の意味よりも、それが持つイメージの方が先行してしまうこともしばしばあり、私にもそれにまつわるエピソードがあります。

随分と前の話ですが、私は子供の頃に読んだ漫画の影響で、“矢絣(やがすり)の着物に袴(はかま)”という装いにとても憧れていました。

当時は文様に意味があることなど知らず、ただあのキャラクターと同じ格好をしたい!というコスプレ感覚でした。どうしても夢を叶えたかった私は、唯一のチャンスである卒業式で実行することにしました。

しかし、それを知った父が「矢絣は女中の着物!卒業式で着るものではない!」と大激怒したのです。

私のイメージは大正浪漫なハイカラ女学生。それに対し父のイメージは女中。

文様の意味を知らない者同士のイメージとイメージのぶつかり合いは相容れること無く、卒業式を前に大喧嘩をしたものです。

”矢絣”は矢羽根をデザイン化したもので、一度飛んでいけば戻ってこない=出戻らないという意味もあるそうです。

それならば矢絣の着物は、むしろ卒業式に相応しいのではないかしら。