秋の名月を愉しむ - お月見あれこれ -

Loving the beautiful moon

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秋は月が美しく見える季節です。

古来より日本人は秋の月を愛で、「十五夜」(中秋の名月)、「十三夜」「十日夜(とおかんや)」を秋の三月見として愉しんできました。

一番有名な「十五夜」(中秋の名月)は、平安時代に中国から伝わって貴族の間で広まり、華やかな管弦の宴が催されていましたが、江戸時代に入ってから秋の収穫を感謝する行事の一つとして庶民にも広まりました。

「十三夜」は、日本でうまれた風習で、その始まりは醍醐天皇(885年- 930年)とも、宇多天皇(867年- 931年)とも言われています。

「十日夜(とおかんや)」は、旧暦10月10日に行われていた収穫祭で、お月見がメインではありませんが、田んぼを見守ってくれた田の神様への感謝を込めてお供えをし、お月見をするというのは日本人の心の有りようが感じられます。

 

秋の月はお月見の風習だけでなく、日本の文化の中にも多くの影響を見ることができます。その一つが香です。室町時代に生まれた香道には、文学を題材として、香りの違いを愉しむゲームのような「組香」という遊び方があります。日本文化は四季を大切にしますが、組香も季節ごとに様々な組香があり、秋は月を題材としたものがいくつもあります。

代表的なのものの一つは、竹取物語を題材にした「竹取香」です。物語では、かぐや姫は数多の求婚者を振り切って月に帰ってしまいますが、無理難題を言われた挙句、振られてしまった貴公子たちを可哀そうに思ったのか、この組香では、五人の貴公子のいずれかがかぐや姫と結ばれるチャンスがあるように作られています。

他には、村上天皇(926年- 967年)が十五夜の月の宴の際に詠んだ歌を題材にした「月見香」があります。“月ごとに見る月なれど此の月の 今宵の月に似る月ぞなき“ と詠むほど、平安時代の天皇も中秋の名月は格別だと思っていたようです。

 

日本に古くから伝わる香の種類には、「線香」「練香」「印香」「香木」があります。「練香」「印香」「香木」は炭であたためた灰の上に置き、ゆっくりと香りを立たせます。そのゆったりと漂う芳香は、香水やアロマオイルとはまた違った味わいがあります。秋のお月見の際は、いにしえに思いをはせ、ゆったりとした気持ちで香を立てるのも趣深いものです。

お香をステキな香合(蓋つきの小さな香入れ)に入れてお月見のお供えとして飾ると、華やぎが添えられてよいかもしれないですね。

 

2020年のお月見の日付は...

十五夜(中秋の名月):2020年10月1日(木曜日)

十三夜:2020年10月29日(木曜日)

十日夜(とおかんや):2020年11月24日(火曜日)